振り返りのフレームワークとして「KPT(ケプト)」というものがあります。 ソフトウェアのアジャイル開発の現場等で浸透している手法です。
私は このフレームワークは受験勉強等でも適用できると考えています。
KPTとは
「KPT」は定期的にチームで業務状況を振り返るフレームワークで、次の3つの視点から現状分析を行っていくものです。
Keep・Problem・Try
「KPT」とは「Keep」、「Problem」、「Try」の略で、それぞれ次のような意味を持ちます。
- 【K】(Keep):継続すること。良かった点、成功したこと、今後も続けること等。
- 【P】(Problem):改善すること。悪かった点、困ったこと、問題点等。
- 【T】(Try):新たに挑戦すること。KeepやProblemに対応するアクション、今後試したいこと等。
フレームワーク
基本的なフォーマットは次のようになります。
左側の上段が【Keep】、下段が【Problem】で、右側に【Try】を書き出していきます。
最初に【Keep】、次に【Problem】、その次に【Try】の順に挙げていきます。
次回の振り返りでは前回【Try】として挙げられたアクションによって前回の【Problem】が改善され、前回の【Try】項目が【Keep】に入ることが理想です。
【Keep】と【Problem】は いわゆるPDCAサイクルの「C(Check)」に該当し、【Try】は「A(Action)」に該当します。 KPTは定期的に実施して、業務やプロジェクト自体を継続的に改善し、その質を高めていくものです。
参考となる本は次の『これだけ! KPT』です。シンプルでわかりやすくKPTについて説明されています。
受験勉強にも役立つKPT
2週間に1度、あるいはマンスリーテストの後など、定期的にこれまでの取り組みについて振り返り、 よかったこと(K)は継続するとともに、浮上した問題点(P)をしっかり可視化・認識して、 それらの原因を考えた上で改善するために今後どう対応するのかを具体的なアクション(T)に落とし込んでいきます。
これを基に次の振り返り会までの新たな計画ができ、見える化された課題や気づきが都度ブラッシュアップされPDCAサイクルが回っていきます。
KPTは個人で行うものではなく、プロジェクトメンバー全員で要素を書き出し話し合いながら行うもので、チーム全体、プロジェクト自体のブラッシュアップを図ります。
どんな受験勉強にもKPTの振り返りは有用だと思いますが、特に中学受験は親子あるいは家族というチームで取り組む "プロジェクト" なので、プレイヤーである受験生本人と共に定期的に振り返り気づきを共通認識とすることで、客観的な課題の洗い出しからその解決に向けた具体的アクションへの落とし込み・合意まで、「KPT」の枠組みは非常に有効だと思います。
KPTの実践
KPTはメンバー全員で振り返り 項目を列挙した上で話し合うものです。
メンバーから項目を挙げてもらう際にファシリテーターがどのような問いかけをすれば良いかの例が、上記の参考文献に書かれています。 "中学受験プロジェクト" でもそのまま適用できそうなので引用します。(出典:上記『これだけ! KPT』Kindle版 位置No.1090~1091)
Keepを引き出す質問例
- 今後も続けたいことは何ですか?
- どんなよかったことがありましたか?
- なぜ、うまくいった/よかったのでしょうか?
- 他の人にちょっと自慢したいことや、褒めてもらいたいことはありますか?
- 前と変えてみたところはありましたか?
Problemを引き出す質問例
- 気になることや、困ったことはありましたか?
- 何かガマンしていることはありますか?
- 「もっとできた」と思っていることは、どんなことですか?
- チームで決めたルールで、守れなかったことはありましたか?
- 目標の到達をさまたげることは、どんなことですか?
- ムダと感じることは、どんなことですか?
- 理想と感じることは、どんなことですか?
Tryを引き出す質問例
- そのProblemを少しでも改善するには、何をすればよいですか?
- そのProblemをすべて取り払うには、何をすればよいですか?
- そのProblemがなくせないとしたら、何をすればよいですか?
- そのKeepの本質は何ですか?
- そのKeepをよりうまく行うには、何をすればよいですか?
- 目標に近づくためには、何をすればよいですか?
そしてこの本には、チームメンバーが目標を理解し主体的に行動できるよう、リーダに対して以下の指針が示されています。
これも"中学受験プロジェクト" にリーダー的役割で「参画」することになった私の心に刺さりました。(出典:上記『これだけ! KPT』Kindle版 位置No.1240~1242)
- リーダーとしてチームへの期待を伝えること
- チームの基本ルールを話し合って決めること
- 決めた基本ルールから外れた行動をとったら叱ること
- 基礎教育を行うこと
私は8月から息子の勉強に伴走し始めました。
7月末に学校で1学期末テストが行われたので、8月初に初めて息子とKPTの枠組みを用いて行った振り返り会は、そのテスト結果に基づくものでした。
定期テストもKPTの実施も初回だったことや、期末テストが行われたころは私がまだ仕事で忙しく息子に伴走できていなかったこともあり、振り返り会と言っても私がだいたいの項目を挙げ息子もそれにそのまま賛同するだけで終わってしまいました。
適切な問いかけをしながら本人の意見も促し、より良い方向へ向かっていくために、チームとして問題解決能力を向上させていきたいものです。
もうすぐマンスリーテストがあります。
その後には "チーム" として 効果的なギャップ分析を行い、このフレームワークに基づき良かった点、問題点を可視化・共有し、改善点を策定して効果的にPDCAサイクルを回していきたいと思っています。