1年半で中学受験 2022

仕事に没頭していた母が退職し息子の中学受験に伴走開始。小5からの短期決戦。

『「ついやってしまう」体験のつくりかた』を読んだ

 

ゲームの魅力?

息子はゲームが大好きです。主人もゲームに対して特に否定的な見解を持たず「ゲームくらいできないと友だちとの会話についていけない」などと言う人なので、Nintendo Switchも早いうちに購入していました。ただし息子に対しては平日は15分、休日は30分で強制終了されるように設定しているそうです。
息子は毎日少しでもゲームで遊ぼうとします。勝手にやっている感じなので私は話にもついていけません。

ちなみに主人は、ゲームに関してときどき従弟の話題を持ち出します。主人には男性4人兄弟の従弟もいますが、皆さんとても優秀です。学歴にしても職歴にしても。そして主人が言うには彼らは「ゲームをやりまくっていた」と。興味関心の幅が広く深いので、ゲームもまた新たなことを学んでいく出発点になっていたのだそうです。だから主人からすると「ゲームのせいで勉強をしない」というのは成り立たないそうです。

確かに私も前職で関わった優秀な人たちを思い出すと、皆ゲームについても造詣が深かったような気がします。

そんな私が先日読んだのが『「ついやってしまう」体験のつくりかた』です。

著者は「Wii」の企画担当だった方。スーパーマリオドラクエ等、名作ゲームの裏側を説明しながら「ついやってしまう」ゲームの体験デザインについて解説されています。昨年出版され結構売れている本のようです。

もちろん私は、いつもゲームを「ついやってしまう」息子が、それと同じように勉強も体験してくれたら良いなぁ、ヒントが見つかれば良いなぁなんていう思惑もあって読み始めました。

 

直観のデザイン 仮説→試行→歓喜

この本では、まず最初にシンプルで簡単な体験で「直観」させることの重要性が説かれています。ゲームを始める上で、ゲーム側から命令されても面白くありません。命令せず始めてもらうにはプレイヤーに仮説を持ってもらうことが重要です。
ここで例として登場するのが『スーパーマリオ』です。

スーパーマリオの最初の画面でプレイヤーは「右へ行くのかな?」と仮説を立てる、自発的にその通り試行してみる、右へ行くとクリボーに遭遇し自分の仮説が正解だったことを知り歓喜する、という流れです。

自転車の乗り方と同様、自発的な体験を通し体得した知識には自信が持てるし忘れません。
体験そのものをシンプルで簡単にし、プレイヤー自身が直観する体験(仮説を立てて試行し、仮説が正しかったことを知り喜ぶ)そのものが面白いから遊ぶのです。

 

驚きのデザイン 誤解→試行→驚愕

しかし、仮説→試行→歓喜 という直観のデザインが何度も繰り返されるとやがて疲れと飽きが訪れます。ここで例として登場するのが『ドラクエ』で、「驚き」の重要性が説かれます。

直観のデザインの繰り返しによってもたらされる疲れと飽きは、非日常で予想外のものにより期待を裏切ることで解消されると言います。(例として挙げられているのは、真面目に世界を救うゲームの中で唐突に登場する「ぱふぱふ」でした。)

ここでは、自発的に誤った仮説を立て、自発的に試行し、自発的に間違いに気づき驚くという一連の体験(驚きのデザイン)によって、疲れや飽きが拭い去られ、より長時間の体験がもたらされると説かれます。

 

物語のデザイン 翻弄→成長→意志

三つめは物語のデザインです。仮説→試行→歓喜のループをうまく回し、飽きるころに予想を裏切ることでもっとやりたいと感じさせます。しかし、ゲームを遊ぶ理由が分からなくなれば辞めてしまいます。だからゲームに物語性を持たせ、ゲームという体験を通じてプレイヤー自身が現実世界で成長するように感じ取ってもらうことが重要だと説きます。

物語のデザインは、翻弄され、成長し、最終的にはプレイヤー自身が意志を持つという流れになります。体験を通しプレイヤー自身の物語が生み出されるのです。

ところで、物語のデザインの中の第二段階(「成長」)では興味深い例がありました。

一つ目はラジオ体操です。これがいかに飽きさせずに反復させるかという体験デザインの例として挙げられていました。体操中、両腕の上げ下げをなんと66回もしているそうです。単に「66回腕を上げなさい」と言われたらやる気が起きません。しかし体操のバラエティとそのリズムによって、ついその運動を繰り返し、全体的に構成された一つの曲を完成させてしまうのです。

二つ目は『テトリス』です。ただブロックを消していくだけなのになぜ止められないのかという問いに対する答えは、間髪を入れずにブロックを落とすという体験デザインにあると言います。プレイヤーに緊張感を解く隙(ゲームを止めようと思うタイミング)を与えないことで、プレイヤーは作業を反復し、やがてゲームが上達してますます止められなくなるのです。

以上は「収集と反復のモチーフ」なのですが、もう一つ面白いなと思ったのは「選択と裁量のモチーフ」です。
例えば「Bダッシュ」を使うか使わないかの選択がプレイヤーに委ねられているように、難易度調整をプレイヤー自身が選択できるようにし、ゲームからのフィードバックによってうまくやったのかそうでなかったのかを実感することで、失敗を自分事として後悔することができ成長する意欲を向上させるのです。

「成長」段階においては最後に「翻意と共感のモチーフ」があります。問題を供給し続ける面倒な同行者の存在は翻意と共感をもたらし、結果的にプレイヤーを成長させます。

 

体験、感情、記憶

最後に、直観のデザイン、驚きのデザイン、物語のデザインを通し強く感情が動いた体験は、記憶として蓄積されると説いています。


この本の巻末には応用編として企画やファシリテーション、プレゼンテーション、プロダクトデザイン、マネジメントといった具体的な事例において、ここで説かれた体験デザインがどのように活用できるかについても触れられています。

 

さて我が家の日常に活かせるか?

この本は中学受験に向けた勉強の伴走者という役割を担っている私自身にとって示唆に富む内容でした。日常生活の様々なシーンでどのように活かしていけるかについて、都度考える余地を提供してくれます。

直観のデザイン、驚きのデザイン、物語のデザインのそれぞれが、息子の勉強における取り組み順序、取り組む内容、取り組む問題の取捨選択等に対し考える材料を提供してくれますし、一方的に問題を「やらせる」のではなく、本人が直観的、自発的に試行して歓喜や驚愕を味わい、自分の人生にリンクした物語としてプレイできれば継続的に楽しく取り組んでもらうことができると教えられました。

SAPIXから与えられるテキストや、SAPIXメソッドの中にもゲーミフィケーション的要素等はすでに様々取り入れられているでしょう。また実際、「ついやってしまう」ゲームを進めるかの如く事を運ぶためには、都度 具体的な状況に合わせた細工を自分で考えていかねばなりませんが、この本で知ったポイントを息子との毎日におけるヒントとして念頭に置きつつ、日常のデザインに創意工夫を凝らしていきたいと思います。

 

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