中学入学以降も私は息子の家庭学習に付き添っているけれども、その伴走は小学校時代に比べ格段にやりやすくなった。
理由の一つは、中学受験の勉強と異なり、次に迎える大学受験向けの勉強が通っている学校での勉強(授業)の延長線上にあることだと思っている。
息子は内部進学を前提とした私立小に通っていたけれど、その学校が合わなかったこともあり外部受験することを決めていた。
当然だが、そのためには中学受験の勉強をする必要がある。
しかし、小学生の頃は学校の勉強と中学受験のための勉強は別物だった。
息子は学校だけでクタクタになっていつも頭痛を訴えていたから、その後にSAPIXへ行くことを嫌がってもいた。
SAPIXの授業は楽しくてその後テキパキ元気になって帰って来ることも多かったけれど、朝6時半に家を出て学校で6時間目まで過ごした後、徒歩と電車でSAPIXへ移動、授業を受けてから再び混雑した電車に乗り最終的な帰宅が22時。夜遅くに塾に行くことはやはり好きではないようだった。
6年生になると平日の通塾は週3日から2日に減ったけれど、土曜日も(9月以降は日曜日も)塾があるのは負担だったようだ。
何しろ受験勉強のほうは土日の家庭学習でカバーしているようなところがあったから。
(小5の夏に私が仕事を辞めて伴走を開始するまでろくに勉強できていなかったから、その後は常にバタバタ、四苦八苦していた。)
しかし中学生になった今は、学校の勉強をベースに頑張っていけばそのまま大学受験につながる。
進学先の中学校には息子も自然体で通えており、帰宅時の顔色を見ても小学校時代のような不安は全く覚えない。
授業も本人にとってとても興味深いようで、帰宅した時点で「勉強を頑張ろう」という気持ちを持ってくれている。
つまり本人自身が意欲的だから、私が傍に付いて勉強を進める際もお互いが同じ方向を見ている状況になれる。
私の説明も前向きに受け入れ熱心に聴いてくれる。
本人自身が「できるようになろう」という気持ちを持ってくれているから私もやりやすいし、さらにお互いのやる気が深まっていく。
息子の場合SAPIXでうまくいかなかった一因には、レベルの不一致だけでなく、そのテキストや授業の進め方が息子に合っていなかったことがあると思う。
SAPIXには基本書(テキスト)がなく、常にその場で新しいプリントがどっさりと配布される。情報量が多めのプリントであるばかりか問題演習中心の作りになっている。
だから常に全体を見通すことができず、その日の位置づけやその意図も自分で知り得ず、その場で「降ってくる」ものに翻弄されがちだった。
当時は、息子がSAPIXから帰宅するまで私自身もその日何を持ち帰って来るかよく分からなかったし、当然授業は息子しか聴いていないからそれを出発点に始めるしかなかった。
私がある程度その方針を理解した上で、息子自身がSAPIXの流れについていけるよう頑張って引っ張ろうとしても、本人が前向きでなかったからそれにも限界があった。
息子には、SAPIXは(特に6年生になると)勉強の面白さを知ると言うより「偏差値」という一つの基準のもとに競わされる場所に思え、それも好きになれなかったようだ。
現在は週3日放課後の部活動に参加し、月に数回週末に習い事を入れている(自分の都合で予約を入れるタイプの習い事なので、参加回数は月により変動させる)が、塾には通っていないし、少なくとも中学生の間は通うつもりがない。
学校からの帰宅が多少遅くても、SAPIXに通っていた頃のように学校後に塾へ移動する必要はなく真っ直ぐ帰れるし、帰宅が22時になるようなことがない。
そもそも通学中の中学校は小学校より少し遠くなったとは言え、通勤ラッシュそのままに都心へ向かっていた小学校時代と異なり、朝は郊外へ向かい帰りは都内へ戻る登下校に当時のような疲れは生じにくいという面もあるだろう。
このように、今の息子にとってかつてのような負担はなく、「学校の勉強を土台としてプラスアルファで頑張れば良いだけだ、しかも学校の授業は面白いし頑張る気力が湧く上に、母親が自分に特化した個別援助をしてくれる」というような安心感に似た感覚でいるように見受けられる。
今は家庭学習を進めているが、息子の場合は「これ」と決めた基本書を落ち着いて丁寧に繰り返すほうが向いているようだ。
「この問題集で行こう」と決めたらそれを貫く。本人も最初からその方針を理解し、その後どのように遷移していくのかもその全体量も目で見て手に取って認識でき、現在地をはっきり意識しながら勉強できるので、安心感や納得感も得られ、それがやる気ややりがいにつながって行くように見える。
3月初、英語に関する中学入学準備を始めた頃、英単語のスペルがあまりにも覚えられなくて、あまりにも滅茶苦茶な綴りを書き続けていることにぞっとしたものだった。
しかしその後毎日英語の勉強を続けてきて、今、英文をノートにスラスラと記載している様子を見ると、たとえその内容が中学一年の簡単なものであったにせよ、大きな進歩を感じ嬉しくなる。
最近、小学校で使用していた『Wordbook』(日本語はなく絵と綴りだけでジャンルごとに様々な英単語が紹介されている)を開いた際に、「今見ると『あぁ~』って思う!」と言った。つまり文字が文字として見える、意味の理解・納得ができるということなのだろう。当時、息子にとっては「音(発音)」と「絵」しか見えなかったからだ。今、英語は息子にとって「言語」になった。
数学も同様に、数日前にできなかったものも2周目にはできるようになる、3周目には簡単にすぐ解けるようになる、こういった進歩は誰にとっても喜びだ。
通塾しない分、常にアンテナを張り将来に向けた学習マップを描き、正しくPDCAを回していく必要がある。
でも、息子が前向きであれば私自身にもやる気が湧くし伴走しやすい。
中学生になり勉強の伴走はしやすくなった。
SAPIXに通っていたからレベルの高い人たちの様子は知っている。息子がこれからどれだけ頑張らないといけないかも。
まずは最初の中間試験が近づいている。自分らしく、一歩一歩確実に頑張ってもらいたいと思う。