息子は比較的遠くの学校に通っている。
片道1時間20分程度はかかっている。
息子の場合は小学校も遠くまで通っていた。
距離的には現在より短かったものの
通勤ラッシュにもまれながら、結局学校に着くまでに1時間程度を要していただろう。
中学生になった今はすでに本人も頼もしいし、
スマホも持っているから何かあっても自分で調べることができる上、
お互いリアルタイムで居場所を知ることができる。
それでも、ずっと申し訳ないような気がしていた。
息子の話を聞いていると、中学校のお友だちの中には学校の近くへ引っ越しをなさる方も珍しくないそうだ。
私はそれを聞いて「いいなぁ」と思っていた。
やはり往復で3時間近く使用しているのはもったいないし疲労もある。
私自身は好んで現在の土地に住んでいるわけではないけれども
我が家は引っ越しが難しい。
それで、息子に対して申し訳ないような気持ちになっていた。
でもある日、帰宅した息子が引越しをされたお友だちの話をした際に
「ぼくは友だちと一緒に学校から駅に向かって歩きたいけどねぇ」、
「学校の行き帰りは電車に乗りたい」と言ったので私は驚き、
また少し救われたような気になった。
幼い頃電車などに興味を持つ男の子は多いけれど息子はそうでもなかったし、
小学校入学後も電車は息子にとってあくまで移動手段に過ぎないようだった。
でも今になって、ある路線が好きだと言うことがある。
どうもその路線を走る新型車両に興味があったりするらしい。
そしてまた「そういえば」と思い出す。
中学入学直後、帰途で電車が埼玉県から東京都に入るとき「あー、東京だー」と思う、となぜか楽しそうに語っていたこと。
息子が言うには、埼玉県内と東京都内では車窓からの風景にも何となく違いがあって面白いのだそうだ。
私自身も、仕事をしていた頃満員電車を乗り継いで通っていたけれど、
そういえばその中で徐々に「仕事モード」に入って行ったなと思い出す。
途中乗換駅で少し地下道を歩きホームを移動する際も、
周りはビジネスパーソンばかりで皆一様に歩くのが速く、
良い意味で私もオフィスに向かう緊張感を高めていったものだった。
もちろん電車での移動は大変だったけれど、それには良い効果もあったと感じる。
息子にとっても、電車を乗り継ぐ長い登下校時間が効果的なものとなってくれれば嬉しい。
さて、私がこの文章を昨日のこの時間に書いていたならば、
それは以上で終わっていただろう。
昨日息子が帰宅後しばらくしてからリュックを開けた際のこと。
「あれっ、お手紙ファイル、学校の机の中に忘れてきたかも」なんて言う。
「重要なお便りはなかったと思う」と言うが
そこに入れていたものの中には昨日の時点で使用したいものもあった。
息子にとって「お手紙ファイル」は忘れてはいけない大事なものなのに・・・。
学校が近ければ忘れ物を取りに帰るということもできなくはないだろう。
しかし学校が遠いとそれは難しくなってくる。
学校へ行く前の荷物については、
そういうわけで慎重になり本人以外のダブルチェックを入れることができる。
しかし学校からの帰宅時に本人が忘れてしまうとどうしようもない。
こういったヒューマンエラーを防ぐ方策を考えて確実に実施してもらいたいと思った。
どうすれば失敗が回避できるかを考えたり注意深くなったりできるというのも
学校が遠いことのメリットだと考えることにしよう。